現代のセクシュアリティ(性愛)は、揺れ動き、堕落しつつあります。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、昼夜を問わずセックスを商品化し、性愛の品性を損なっています。良い「縁結び」にはなっていませんし、非婚や離婚は増え続けています。さらに出会い系サイトは、性犯罪の温床になっています。
様々な性愛の偏倚(パラフィリア)、つまり窃視症や盗撮、窃触症、性的DVや、ストーカー犯罪が増加しています。
本来は優しくあたたかな「愛の神エロス」が、病みつつあるのかもしれません。
今大会では、現代日本の「性とこころの問題」を深く憂い、「希望の恋愛学」をはじめさまざまな提言をなさっている
宮台真司氏(社会学者)が、
公開講座をお引き受け下さいます。
また長年にわたり性的被害者に寄り添い、フェミニスト&コミュニティ・アプローチに携わってこられた
高畠克子氏(心理)が、「エロスからアガペーへ」というテーマの
基調講演をしてくださいます。
さらに、お二人から「性とこころの臨床」における最新のお話がいただけます。
現代のトピックスとして、ストーカーの「恨み」の心理に詳しい
福井裕輝氏(精神科医)から、「
ストーカー病」についてお話しいただきます。
教育講演は、性暴力被害によるPTSDへの認知行動療法の大家である
飛鳥井望氏(精神科医)が、「
TF−CBT」などについてご講演くださいます。
皆さまのご参加を、お待ちいたしております。
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ギリシャ神話のエロスは、S・フロイトによって「生と性」の衝動の象徴とされました。異性の他者を求め、感じ、知りあい、結合し、産み保つ、という「自己と種族の保存」のおおもとです。これは、ポジティブ心理学で言う「拡張と形成」「元気盛大」ですが、エロスの活動は過剰となり「ポジティブ幻想」を生みがちです。これを調整しやわらげる存在が、パートナーであるプシケに象徴されるのではないでしょうか。
プシケは、かつて人間界の王女でありましたが、エロスに愛されたため、さまざまな苦難に遭遇します。最後にゼウスに認められて女神となったプシケは、この世の人びとにささやきます。「愛」を支えるのは見ることでも確かめることでもなく、相手を信じる「こころ」なのです…、と。
本大会も、前大会テーマ(暴走する性・彷徨(さまよ)う愛)を引継ぎ、エロスの影とも言うべきタナトス(破壊と死の神)の暴走を戒め、エロスの回生を祈りつづけるプシケの、永劫回帰の在りようを探りたいと思います。