日本「性とこころ」関連問題学会は「性とこころ」に関連する諸問題への対策や発展を目指す学術団体です。
大会は盛況のうちに終了いたしました。
大勢の方のご参加、誠にありがとうございました。
<次回大会>
2019年6月29日(土)
於 ホテルメトロポリタン
大会長 五十嵐 愛子(文教学院大学)
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NEWS
- 2018/3/11 事前参加申し込み・演題登録について掲載しました
- 2018/2/9 大会長挨拶・プログラムを掲載しました。
- 2017/8/26 第10回記念大会のウェブサイトができました。
大会長よりご挨拶
大会長 榎本 稔
医療法人社団榎会 榎本クリニック理事長
性によっていのちがつくられる
古事記のはじめに次のように書かれている。
「伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊那邪美命(イザナミノミコト)の二柱の神が、
淤能碁呂島(オノゴロジマ)に天降りまして、その妹伊邪那美命に問ひたまはく、
「汝が身は如何に成れる」と問いたまへば「吾が身は成り成りて成り合はざる處−處あり」
と答へたまひき。ここに伊邪那岐命詔りたまはく「我が身は、成り成りて成り餘れる處−處あり。
故、この吾が身の成り餘れる處をもちて、汝が身の成り合わざる處にさし塞ぎて、国土を
生み成さむと以為(おも)ふ。生むこと奈何(いかん)」とのりたまへば、伊邪那美
命「然善けむ」とこたへたまひき。」
こうして二柱の神から生まれた島はあわせて14(大八島、日本列島)、神は35を数える。
最後に、伊那邪美命は火の神を生みしによりて、遂に黄泉国へ神避りましき。
45億年の歴史をもつ地球に生命体が生じたのは38億年前といわれている。はじめの生命体は
単細胞で遺伝子DNAの存在する染色体を一組しかもたない一倍体の原核細胞であった。
大腸菌やコレラ菌のバクテリアである。この生命体は一倍体のままで無限に分裂し、
オスとメスの交配なしに無性生殖で増殖を続ける。細胞が分裂するのであるから
突然変異でも生じない限り、すべては同じクローンである。
しかし状況の変化により、環境が悪化すれば、存続不能となる。
その危険を免れるために、約15億年前になって染色体上にオスとメスからくる遺伝子
DNAを一組ずつもつ二倍体の真核細胞が現れた。アメーバやミドリムシであるが、
まだ単細胞であった。二倍体化したことで、遺伝子の突然変異にも対処することが可能に
なったが、さらに10億年前に、多細胞生物が出現し、生命体の進化と多様化が進み始めた。
二倍体単細胞生物も有性生殖の機構を取り入れ、環境の変化に適応できる子孫を造りうるように
なっていたが、多細胞生物になると、生殖細胞という細胞集団を造った。
生殖細胞だけに有性生殖の機能をもたせ、その他は体細胞としての個体を維持する機能を
もつことになったのである。だが性が現れたことによって、死も現れた。
体細胞と生殖細胞が別れたことにより、生殖細胞は子孫に無限に維持しうるが、体細胞に
よって形成される個体は寿命をもつようになった。生と死は共存し、性があるところに、
個体の死が存在することになったのである。この死は、まず、受精とそれによる遺伝子の
組み換えから、環境の変化に適した遺伝子をもつ個体を造ることが可能になり、そこに淘汰が
必要になることから進化が生じた。進化過程の結果、ヒト、人間、人類がつくられた。
人間は、身体的存在であり、精神的存在であり、社会的存在であり歴史的存在である。
誕生とともに人の生は始まる。幼・少・青と自らを育み、盛・壮・中のうち子孫を残す。
経るべきを経た命の衰えを老と呼び、その終わりを死と名付ける。生まれた人間は
必ず老いて死ぬる運命にある。
死亡率100%。
秦の始皇帝は不老長寿を強く願望し、徐副に命じて東の方へ行って、不老長寿の霊薬を
見つけて来いと命じた。そして、死後の世界に、生前の始皇帝の生活そのものを来世に
持って行こうとしたのである。兵馬俑である。
死後の世界は誰にも解らない、無知の世界である。だからこそ、救いを求めて、
「あの世」「神の国」「地獄」等を想像し、宗教をつくっていったのである。
性はいのちをつくり、永遠性を求めて続くのである。